LEDのブルーライトが目の視細胞に障害を与えるメカニズム

 岐阜薬科大学の原教授らの研究グループは、ネズミを使った実験でLED(発光ダイオード)が発するブルーライトが視細胞に障害を与えるメカニズムを解明し、この6月に英国の学術誌に掲載されたそうです。

 これまでもブルーライトが目に悪影響を与え急性網膜障害や黄斑変性症などの原因となることは知られていましたが、詳しいメカニズムについてはわかっていませんでした。今回の発表では、LEDの光は大量の活性酸素を発生させて視細胞に障害を与えることが解明されたようですが、LEDの光でも青色が最も活性酸素を発生させ視細胞に障害を与え、青色に次いで白色の光も視細胞に障害を与えたものの、緑色の光は活性酸素を増加させず視細胞に障害を起こさなかったそうです。

 現代社会では、パソコンやテレビのほか一般の照明までLEDが使用されるようになってきています。LEDの光が視細胞に障害を与えるからといって直ちに悪影響が出るわけではないですが、日常生活の中でLEDの光が目に入ってくる事が多くなると、今後、黄斑変性症などが増加することが危惧されます。 

 漢方では昔から目に良いとされているものはいくつかありますが、LEDのブルーライト対策には、黄斑部の中心部位で活性酸素から目を守っているゼアキサンチンが豊富に含まれている枸杞子(くこし:クコの実)がお勧めです。中国では、料理のアクセントに使われたり、熱湯を注いでお茶代わりにしたり、焼酎に漬けて枸杞酒にするなど様々に利用されていますが、目とつながっているとされる五臓の肝に良い食材として有名です。

 また、漢方処方では老化予防の六味丸に肝の熱をとる菊の花と枸杞子を加えた杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)という処方が“飲むめぐすり”として有名です。そのほか、活性酸素を除く作用が強いことから、欧米では生の枸杞子のジュースが美容目的などに飲まれています。

 

 

 

 

 

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