四川式の泡菜(パオツァイ:野菜を乳酸菌発酵させたもの)と夏野菜を細かく刻んで炒めたものをレタスの葉にくるんでいただく料理です。
ところで、この発酵に使われる乳酸菌はどこから来たのかというと、野菜そのものに付着している乳酸菌が増殖したものです。このような乳酸菌を植物性乳酸菌とよびますが、熱にも強く塩分濃度が高い環境にも適応するようです。
乳酸菌というとヨーグルトというイメージが強いですが、土の中にあっては作物の病気の予防や土中の有機物の分解、野菜などが土の中のカルシウムなどのミネラル成分を吸収しやすくする作用などが知られています。このような作用は人体の中にあっても同じで、病気の予防=免疫力の増強、食品中のミネラルの腸管からの吸収を促進する働きがあります。その他にも、腸内細菌叢の改善は便通の改善効果や脳腸相関を通じてのうつ病の予防なども知られています。
また、最近注目されているのは微生物が関与することでD体のアミノ酸が生成され、これが美肌効果や統合失調症などの改善にも応用できるのではないかとされています。
これまでの栄養学は機械論的な生命観をベースに、カロリーやビタミン、ミネラルといった食べ物の物質的な側面のみを重視してきましたが、今後は野菜や米(玄米)と共生している乳酸菌などの微生物の効能や、それを食べる側の人間も腸内細菌や皮膚常在菌などと共生関係にあることを考えるべきだと思います。