合鴨の砂肝の煮こごり

141725 砂肝は正式には筋胃とよばれ、飲み込んだ砂粒を利用して強い力で食べ物をすりつぶすところです。

 鳥類には、この筋胃の手前に腺胃と呼ばれるところがあり、胃酸や消化酵素を分泌していますが、歯がないだけに、この筋胃で食べ物を細かくすりつぶしています。

 人間は歯とあごの筋肉を使っ食べ物を咀嚼しているので、胃壁も砂肝ほど筋肉が発達していません。

 しかしながら、最近は若い人を中心に食事の際にあまり噛まずにお茶や水で流し込むように食べている方が増えているようです。この“流し込み食べ”の問題点は、噛まないことで食べ物が細かくならない(断面積が少ないと消化液などが有効に作用しにくくなる)、噛まないことで唾液の分泌が減る(唾液には消化酵素のほか、ペルオキシダーゼなどが含まれる→「よく噛んで食べるメリット」参照)、胃酸が薄まるなどのほか、冷たい水分で流し込むと消化管内の温度が低下して酵素の活性が低下するなど、結果的に食べ物の消化や栄養素の吸収、代謝に悪影響を与えます。更に、こういった食べ方を繰り返すことで胃腸に負担がかかって胃腸機能が低下し、ますます消化や吸収に支障をきたすようになっていくばかりか、胃腸の水分代謝能力の低下はむくみや便通異常、頭重の原因ともなります。

 現代人の感覚からすると、食べ物は口に入れて胃腸を通過すれば自動的に食べ物に含まれる栄養素やカロリーが総て身体に取り込まれるという感覚を持っている方が多いですが、鶏のように砂肝を備えてるわけではないので、よく噛んで食べることと、食事中に水分を摂りすぎないことは最低限守らないと、食べ物が胃腸を通過していくだけで、中に含まれる栄養素が吸収されるとは限りません。

 

 

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