ハマボウフウは、日本各地の海岸沿いの砂浜などに自生しているセリ科の植物です。
セリ科独特の清々しい香りが特徴で、食用として出まわっているのは栽培されたものが多いようですが、食用以外にもハマボウフウの根を乾燥させたものは生薬としても用いられています。
生薬としてのハマボウフウは、滋陰薬に分類され、胃や肺を潤す薬効があるとされ、のどや鼻の乾燥、熱病などにおける口も渇きなどに用いられます。また、中国での生薬名は沙参(北沙参)となっています。
滋陰薬は陰虚と呼ばれる乾燥状態を改善するものですが、乾燥やほてりを伴う陰虚の改善には、滋陰薬で体の中から潤すことが必要で、このような薬効は新薬にはない漢方独特のものです。
口の渇きということでは、誤嚥性肺炎の原因ともなるドライマウスなどの改善にもハマボウフウなどの滋陰薬は応用されています。単純に水分を摂って表面を潤すというものではなく、言うなれば水分保持能力を改善するような効果があります。