前回の続きですが、アメリカで5年間にわたって34歳から93歳の1000人を対象に行った調査で、前年に大きなストレスを経験したと答えた人は死亡リスクが30%も高かったものの、同時にコミュニティーや身の回りの人に対して思いやりのある行動に時間を費やした人は、例え大きなストレスを受けていても死亡リスクは全く大きくはならなかったそうです。
また、ストレスを受けると分泌されるホルモンの一種であるオキシトシンはストレス時に血管が収縮するのを防ぎ、心筋の細胞を再生させることで心臓を保護する作用のあることが解明されています。元々、オキシトシンは愛情ホルモンともよばれ、赤ちゃんを抱きしめたり、家族や愛する人とくつろいでいるときにも分泌されるホルモンとしても知られていますが、ストレスホルモンの一つであり、心臓をはじめからだをストレスの悪影響から守るとともに、人間を利他的な行動へと促す作用もあることがわかっているそうです。よって、上記のアメリカの調査結果からは、ストレスを受けた時にオキシトシンに促され、利他的な行動を取ることは、結果的にストレスを受けただけの人に比べて死亡リスクを大きく減らす結果にもつながるということです(利他的な行動とっていることが更にオキシトシンの分泌を増やしていることも考えられます)。
以上、ストレスを受けることは決してマイナス面だけでないということですが、「ストレスは健康にプラスで、どんな状況になっても平気だ」といったポジティブすぎる考え方も、それはそれで問題だと思います(自分ではそう思っているように振る舞えても、深層心理では不安感がつきまとっていたりするため)。間違いのないストレス解消法としては、ストレスにさいなまれたら利他的な行動~人が喜んでくれること、人から感謝されることを積極的に行う~や家族や信頼できる仲間と過ごす時間を増やすことを心がけることだと思います。