ハツとはホルモンの中で心臓のことで、英語のハートが語源とされています。別名をココロとも言いますが、この心臓=こころという概念は洋の東西を問わず人類共通の認識としてあるようです。
現代医学ではこころは脳の働きとされていますが、漢方では精神神経機能は五臓の心がつかさどるとされていますが、感情に関しては五臓総てが関わっており、特に心が統括していると考えられています。
臓器移植の盛んなアメリカでは、心臓移植によって前の持ち主の嗜好性や人格などが転移するとする説がありますが、漢方的に考えるとそういうことがあっても不思議ではないと思います。表面的にはオカルトチックな話ですが、科学的にも細胞レベルでの記憶のメカニズムについて研究が進んでおり、いずれ科学的に解明される日が来るかもしれません。
特に、心肺同時移植では、漢方的に考えると五臓の肺には人間の本能的な感情などに関わる魄(はく)が収められているとされ、趣味や嗜好性の転移が起こっても不思議ではないと思います。漢方では全身を気が巡っていると考えますが、気に関しては肺が吸った空気と腎の先天の気、それに脾の働きによって食べ物から得られる気の3つが合わさって生成し、心(しん)が押し出したものを肝がコントロールしているとされています。すなわち五臓総てが関わっているわけですが、心(しん)は君主の官とされ五臓総てを統括していますので、気というか気持ちといってもいいですが、こころは心(しん)との関係が最も深くなります。
因みに、ハツの薬膳的な効能としては養心安神作用~精神を安定させる働きがあるとされています。