奈良の鹿の角

130602  数年ぶりに奈良に行きました。奈良公園では、牡鹿の角がかなり伸びていました。

 鹿の角は、春から夏にかけて生長しますが、角の中には血液が流れており、1日に数cmも伸びることがあります。 鹿にとっては、秋の繁殖期に牡鹿同士で優劣をつけるための武器でもあり、その頃には気性も荒くなりますが、現段階では、おとなしく観光客の相手をしています。

 ところで、この鹿の角が硬くなる前に根元から切り取って、熱湯につけてから乾燥させると、鹿茸(ろくじょう)という名の生薬になります。

 鹿茸は、生命の根源物質とも称される“精”という物質を増やす作用があるとされ、古来、老化予防や男女の不妊などに応用される高貴薬として珍重されてきました。尚、中に血が流れている状態で角を切っても、血止めの軟膏などを塗っておけば鹿の命に別状はなく、翌年になると新たな角が生えてきます。因みに、秋になって骨のようになった角は鹿角(ろっかく)と言って、鹿茸よりも効力が劣るとされています。

 因みに、中国などでは鹿茸をとるために鹿が飼われており、立派な太い角を得るために冬の間から大豆やトウモロコシなど高栄養の餌を与えるそうです。奈良公園の鹿の角も十分に立派ですが、鹿せんべいも米ぬかと小麦粉が原料とのことで、その効果?ゆえかもしれません。

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 こちらは、ずいぶんと立派な角ですが、鹿の角は生後2年目くらいから生えるようになり、年数が経てばたつほど大きな角が生えるようになります。

 尚、鹿茸は1本の角でも根元よりも生長点である先端に近い部分ほど薬効が高いとされています(写真の大きな角の根元付近は既に骨張ってきていますが、先端部分はまだ柔らかい感じがします)。

 また、鹿茸として用いられる鹿の種類としては大きく分けて2つあって、奈良の鹿のような梅花鹿(胴体に梅の花のような白いスポットがある)以外に、大型の馬鹿(中国語でマールー)の角も鹿茸として用いられます。

 

  

 

  

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