ここ最近、炭水化物を全く摂らない食事で痩せたとか、血糖値が下がったという話は良く聞きますが、新聞の報道によりますと、厚生労働省の研究班が海外の論文を解析したところ、ご飯やパンなどの糖質を制限する食事を5年以上続けた場合、死亡率が高くなる可能性があるとする結論に至り、アメリカの科学誌に発表したそうです。低炭水化物食は短期的には高血糖や肥満の改善につながるものの、長期にわたって続けるのは危険ということですが、その機序などについては不明とのことです。
これまで、低炭水化物食支持派の理論として、人類の歴史の中で穀物を栽培して食べるようになった歴史の長さは、その前の狩猟採集時代に比べて圧倒的に短いので、人間は本来穀物などを食べる必要がないという話も聞いたことがありますが、どうやら間違っていたようです。
穀物を栽培するようになって人類の数は飛躍的に増えた訳ですが、穀物などの炭水化物を日常的に摂ることに適応できる代謝能力を持ったものが、より多くの子孫を残したとも考えられます。要するに、炭水化物を摂るようになってからの歴史の長さは、人類を淘汰するのに十分な長さであったという事です。炭水化物が人間に適した食べ物かどうかよりは、現在生きている人間の先祖が炭水化物を食事として摂ることに適応したということではないでしょうか。
こういった考え方は、地産地消と同じ発想で、地産地消や伝統食を食べましょうというのは、精神論とかではなくて、その土地なり民族の長い歴史の中で、そこに暮らす人にとって適した食材だからです。
因みに、米の薬膳的な効能は補中益気で、胃腸の機能を高めて元気にすることです。