昨年末に独立行政法人果樹研究所と浜松医大などによる疫学的調査で、女性ホルモンの関係で骨粗鬆症を発症しやすくなる閉経後の女性で、温州みかんに特徴的に多く含まれるβークリプトキサンチンの血中濃度が高い人ほど骨粗鬆症になりにくいという調査結果が発表されました。
これまでにも、みかんに多く含まれるβークリプトキサンチンには強い抗酸化作用があり、ガンを始め生活習慣病全般に優れた予防効果があることなどが知られていましたが、今回、浜松市において457名の閉経後の女性を4年間追跡調査した結果、血中のβークリプトキサンチン濃度が低いグループの骨粗鬆症発症リスクを1とした場合、βークリプトキサンチン濃度の高いグループではなんと0.02という結果が得られたそうです(男性や閉経前の女性ではこのような関連性は認められなかったそうです)。
今回の調査では、βークリプトキサンチン以外に、βーカロテンやゼアキサンチンなど5種類のカロテノイド類についても調査されたそうですが、βークリプトキサンチン以外には骨粗鬆症の発症との相関関係は見られなかったそうです。
骨粗鬆症というとカルシウム不足と考える方が多いですが、骨の形成には様々な要因が絡んでおり、カルシウムさえ摂ればよいといった単純な話ではありません。また、これまでにも野菜や果物に含まれる抗酸化物質を摂ることが骨粗鬆症の予防に極めて有益であることが類推されることから、今後、更にβークリプトキサンチンやみかんの骨粗鬆症予防のメカニズムなどについて研究が続けられるそうです。
因みに、βークリプトキサンチンは日本のみかんには豊富に含まれていますが、オレンジなどには殆ど含まれていないそうです。