レバーは言うまでもなく肝臓ですが、漢方理論に於ける肝臓は、全身の気血の流れをコントロールしているところとされています。
また、肝臓は血の塊でもあり、血が十分になければ機能が十分に発揮されずに、気血の巡りに問題を生じると考えられています。よって、貧血気味の方は、気の巡りに問題を生じやすく、ストレスに対する抵抗力が弱くなります。
現代では20代、30代以下の若い人を中心に、食の不摂生から血が不足気味の方が多く見受けられますが、プチうつや新型うつ病と言われるようなものが蔓延している背景には、ストレスそのものの問題よりも、ストレス抵抗力の低下が主な要因ではないかと思います。
漢方では昔からストレス性疾患に於いて、普通に体力のある人に強いストレスが影響して発症するケースと、ストレス抵抗力のない人にちょっとしたストレスが影響して発症するケースでは用いられる処方が異なってきますが、最近は後者のパターンから症状を訴える方が多いような気がします。また、そういったケースでは安定剤などの新薬を服用した際に、ねむけやだるさ、胃腸症状などの副作用が強く表れる傾向も見受けられます。
また、漢方では肝臓は目につながっていると共に、筋肉がなめらかに動くようにコントロールしていますので、肝臓に血が少ない方(肝血不足)の特徴として、目が乾きやすい、肩こり、筋肉が痙攣しやすいなどの症状をともなうこともあります。こういったケースでもまず血を増やすことが必要となりますが、血が増えない原因が食べ物にあるか、食べ物から栄養素を消化吸収して血に変える胃腸の機能に問題があるかによっても対処方法が違ってきます。
別の角度から言えば、加工食品などに含まれる食品添加物などの影響で腸内細菌バランスが崩れている方は、消化管からのミネラルの吸収に問題が出やすい上に、腸内細菌が合成してくれている葉酸なども不足しがちで、それだけでも血液の生成に問題を生じやすくなります。こうなってくるとカロリーは足りていても、あるいはレバーのようなものを食べてもなかなか血が増えない原因ともなります。
現代社会では、血を増やすには、レバーなどを積極的に摂るよりも、まずは腸内細菌バランスを改善するような発酵食品を多く摂ることと、腸内細菌に悪影響を与える加工食品の摂取を減らすことから始める必要があると感じます。