新鮮な“泳ぎ”のマゴチ(鯒)の蒸し物です。英語ではフラットヘッドと呼ばれますが、ナマズを押しつぶしたような独特の体形は、愛嬌すら感じられます。味に関しても白身の魚の中でも身にプリプリ感が強く、人気のある魚です。また、締め方で身の透明感というかプリプリ感に差が出てきますが、活け締めだけあって身に透明感がありました。
こういった魚は、煮付けにしてもおいしいとは思いますが、中華ではなんと言っても蒸し物が最高です。蒸気で蒸されることで、素材の風味が損なわれず、かつ栄養のにじんだ汁も調味料ごと白いご飯にかけていただくというスタイルは、煮付けよりも食感、栄養面とも優れていると思います。
実は、焼いたり煮たりといった調理方法の中で中華の最大の特徴がこの蒸すという調理方法です。ここ最近、日本でもタジン鍋ブームがあったりして、蒸しものが注目されていますが、中華では飲茶メニューはもちろん、魚に限らず、肉料理やスープまで蒸すことで調理されます。おそらく、栄養の胃腸からの吸収という観点からも蒸し物は優れているように思います。
ところで、日本の家庭で今や最もポピュラーな調理方法といえば、電子レンジではないかと思いますが、電子レンジの照射するマイクロ波はビタミンやファイトケミカルと呼ばれるからだに有用な成分を破壊する事が知られています。また、マイクロ波の影響で損傷を受けた食品中の有機細胞などは人体の免疫機能などに悪影響を与えるという報告もあります。原材料にいくらまともに栄養素が含まれていても、“ちん”して口に入る頃には、原材料に含まれているはずのものがなかったり、含まれていないはずの有害なものが発生しているわけで、時代は、古典的な栄養学では扱いきれない領域に入っています。