今年は寒い日が多いですが、日差しは間違いなく強くなってきており、春の気配が漂ってきました。
毎年この時期になると気滞(~ストレスによって気の流れが滞ること)の症状をうったえる方が増えてきます。気滞の自覚症状としては、イライラする、抑鬱症状といった神経症状が代表的なものですが、以下に挙げる症状も漢方的にはストレスの影響で発生しやすいと考えられています。
・ゲップやガス、しゃっくり、ため息が多くなる
・のどが詰まった感じがする
・手足の筋肉の痙攣(目もとの筋肉がぴくぴくする)
・生理周期が乱れる、生理前になると胸や脇が張る
・首や肩のこり
・便がすっきり出ない、頻尿気味になる
・フェイスラインなどにニキビや吹き出物ができる
などなど。本人がストレスを自覚していなくても、これらの症状が気になる方は何らかのストレスが影響している可能性が大です。
また、寝付きが悪くなったりもしますが、睡眠に関して一番問題になるのは寝付きはよくても夜中に何度も目が覚めるというものです。寝てから起きるまでの時間が睡眠時間とされますが、夜中に何度も目が覚めるとか、一晩中夢ばかり見ていてぐっすり眠れないといった寝方では、たとえ7、8時間寝ていたとしても、深い眠りの時間帯であるノンレム睡眠の状態が少なくなって、からだの疲れがとれないばかりか、神経の緊張から首や肩に力が入った状態が続いて寝違えのような首筋のこりにも悩まされる事になります。また、こういった状態が続くと精神的にも疲労が溜まって、ちょっとしたことでも大きなストレスを感じるようになり、血糖値や血圧などにも悪影響を及ぼすようになります。(→ 「漢方薬とストレス・睡眠障害」参照)
更に、ストレスの影響で気の流れが滞ると言っても、流れるべき気のエネルギーそのものが少ない方や、気の流れを邪魔する余分な湿気や水分を抱えている方は、同じストレスを受けても人よりもダメージが大きくなります(気の流れが滞りやすいということです)。
これら気の流れの滞りに用いられる漢方処方はいくつかありますが、ポイントとしては気のエネルギーの大小、余分な湿気を抱えているかどうかなど、その方の体質によって使い分けられます。最近は漢方処方の効能効果を前面に出した広告が盛んですが、西洋薬と違って漢方薬の場合は病名や自覚症状がいくら合っていても、体質に合っていなければ効果は期待できません。
一方で、ストレスからくる自覚症状のもう一つの特徴は、日によって症状がばらばらというか、一定しないことが多く、漢方薬を服用していても効果がわかりにくいこともあります。ただし、女性の場合は精神的な症状だけでなく体質にあった漢方薬を服用すると、生理不順や生理痛なども同時に解消される事が多いので、漢方薬が効いているかどうかの目安になります。