蟹は薬膳的には補骨精髄作用があるとされていますが、蟹の身は低脂肪高たんぱくで、亜鉛などのミネラルを多く含むほか、蟹の甲羅は巷で人気のグルコサミンの原料でもあり、たしかに骨の健康には良さそうです。
ところで骨というとカルシウムを連想しますが、骨の20%、軟骨の50%はコラーゲンです。骨を丈夫にするには、カルシウムと共にコラーゲンの原料となるタンパク質も重要です。
更に重要なのは、当たり前すぎて敢えて誰も言いませんが、食べ物を消化吸収する胃腸をはじめとした内蔵機能が正常でなければ、サプリメントであれ、食品であれ、カルシウムやタンパク質をいくら摂っても骨は丈夫になりません(特にミネラル類は食品に近い形で摂らないと吸収率がかなり低下します)。
また、漢方では五臓六腑の腎がしっかりしていないと骨がもろくなるとされ、現代医学でも腎臓機能が低下するとビタミンDが活性化されなくなって骨へのカルシウムの沈着に影響を与えるとされています。
更に腎臓そのものは細い血管がいっぱいあって、動脈硬化の影響を受けやすく、血液がサラサラでなければ腎臓機能が低下しやすくなります。
よって、骨の健康を維持するためには食べ物、胃腸機能、腎の機能、更に動脈硬化などの要因が絡んでおり、カルシウムを摂れば良いという単純な話ではないということです。