西紅柿(シーホンシー)とはトマトのことで、主に中国でも北方で使われている言葉です(南方では蕃茄(ファンチェ)と称されることが多いです)。
トマトは夏野菜を代表する野菜で、薬膳的な効能としてはからだにこもった余分な熱を冷まして、のどの渇きもとるなどとなっています。
日本ではトマトは生食されることが多いですが、中国料理では基本的に加熱調理して食べられます。
日本人の感覚から言うと、暑い時期に冷蔵庫で冷やして生のまま食べた方がからだの余分な熱を冷ましてくれそうですが、漢方理論上からも必ずしもそうだとは言えません。
薬膳的な発想では、食べ物は加熱して食べるのが当たり前であり、夏の暑い時期にはからだの熱を冷ましてくれる働きのある食材を摂って「涼を補う」ことで、余分な熱を冷ますという発想になります。
漢方薬の世界に置き換えても、清熱剤と称されるような処方であっても、基本的に煎じたものを冷たくしてから飲むということはありません。現代では煎じ薬よりもエキス顆粒のような剤型が一般的ですが、それでもわざわざ冷たい水で飲む方が熱を冷ます効果が高くなるということもありません(むしろ、胃腸を冷やすことで免疫力などの低下を招き、発熱状態が治まりにくくなります)。
気力の発生源でもある胃腸を冷やすことは、気のパワーの不足を招き夏バテしやすくなるばかりか、胃腸の水分代謝機能の低下から、顔や手がむくみやすくなります。勿論、水分補給も大事ですが、体力に自信のない方は、夏場であっても、できるだけ冷たいものは避けるようにするすべきです。