今日3月3日は、ひな祭りですが、もともとは3月に入って最初の巳の日とされ、“上巳の節句”が正式な呼び方になります(節句の多くが奇数の並びになるのは、陰陽論では奇数が陽、偶数が陰となるからです)。
記録によれば中国では2000年以上前から、この日に川の水でからだを清め、その後に宴を催すという風習があったようです。
新暦に慣れきった日本人の感覚ですと、新年を迎えてから何ヶ月か経って春になるので、もうひとつ実感がわきませんが、旧暦の時代には正月から春が始まるわけで、春=新しい年の始まりに際して身を清め、暖かさが増してきた頃には肝気を伸びやかにするために自然の中を散歩するといった流れの中で、旧暦の3月3日にこのような風習が生まれてきたものと考えられます(「青い春の“木の芽時”」参照)。
因みに、日本のひな人形も、自分の身代わりとして紙でできた人形を川に流すことで身を清めるという風習が始まりとされています。また、写真の春巻きも、新春を迎えて生の野菜を口に含んで清らかな気分を味わうという風習から発展し、やがて小麦粉でできたクレープ状の餅(ピン)で野菜を捲いて食べる→野菜を捲いたものを油で揚げる→“春巻”の完成となったもので、春巻きの“春”は“新春”の“春”のことです。