髪菜と干し牡蛎のスープ

11126  髪菜(ファーツァイ、広東語では、ファッチョイ)とは、髪の毛のような陸に生える藍藻類の一種で、発音が金儲け=“發財”と同じ事から、正月の縁起物としてよく使われる食材で、特に干した牡蛎と豚肉などと共にスープにしたものは正月定番の料理の一つです。

 牡蛎といえば、日本では生の牡蛎が普通ですが、大陸国家である中国では干した牡蛎、もしくはオイスターソースのような形で利用されるのが普通です。

 牡蛎の特徴は、何といっても亜鉛をはじめとするミネラルが豊富に含まれていることで、洋の東西を問わず昔から滋養効果の高い食材として有名でした。

 現代の食材や加工食品に関して、カロリーは足りていてもミネラル類の不足が各種データからも明らかになっており、特に成長期のお子さんや、妊娠授乳中の女性、お酒、タバコ好きの方、新薬を常用されている方など体内のミネラルの消耗が激しい方にとって、ミネラル不足に陥りやすい環境にあります。ミネラルが不足すると、集中力の低下、精力減退、貧血、口内炎ができやすくなる、髪の毛やお肌がカサカサするなど、新型栄養失調と呼ばれる症状がでやすくなります。

 また、ミネラル不足に対して何種類かのミネラルの入ったサプリメント類もよく売れてはいるようですが、ミネラル類は他の栄養素と違って、吸収率が極めて悪く、いくら高濃度のサプリメントを摂っても殆ど吸収されません。よって、ミネラル類はできるだけ食材として摂取することが望ましく、そういった意味では牡蛎は理想的な食材といえます。

 因みに、明の時代の本草綱目で、牡蛎については「女性のお肌のきめを整える」という美容効果にもふれられています。漢方的に言えば、鉄だけでなく亜鉛など複数のミネラルの不足は貧血の要因となり、女性のお肌や髪の毛は血の栄養効果によって美しさを保つとされており、ミネラルが吸収されやすい形で豊富に含まれる牡蛎には、滋養効果だけでなく美容効果も期待できるわけです。

 

 

 

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