西瓜を裏ごししたものと、そうめんかぼちゃ~金糸瓜の入った鶏湯ベースの熱いスープです。
そうめんかぼちゃは19世紀には日本に伝わったとされますが、かぼちゃと言ってもズッキーニなどに近い種類で、実の部分が素麺のようにほぐれるのが特徴です。
さて連日猛暑が続いていますが、西瓜をわざわざ熱いスープに入れることに違和感を感じる人は多いと思います。
ところが、食養生の考え方では、暑いからと言って冷たいものを摂るという発想は存在せず、暑い時にはからだの余分な熱を冷ます作用のあるものを積極的に摂るというのが基本になります。具体的には夏野菜であるキュウリやトマト、ナスなどのほか瓜類などですが、要は熱いから物理的に冷たいものを摂るのではなく、“涼を補う”という考え方になります。
食養生で一番重要なことは、「胃腸機能を悪化させない」ことで、昔から飲食の不摂生として暴飲暴食や、酒や刺激物の過剰摂取などのほか、“生冷過食”という項目が挙げられています。直訳すれば、生ものや冷(さ)めたものを摂りすぎてはいけないということですが、要はおなかを冷やしてはいけないということです。
昔は冷蔵庫などが存在しませんでしたが、熱くないもの=冷めたものでも摂りすぎてはいけないというくらいですから、氷の入ったものや冷蔵庫で冷やされたものを日常的に摂ることは言語道断のレベルと言えます(もちろん、そういった食生活をしていても元気な方はいっぱいおられますが、少しでも健康上気になることがあるなら、冷たいものを摂るのを止めるだけでも良くなることは多いです)。
このおなかを冷やしてはいけないと言う考え方は、日本に於いても、有史以来、フーテンの寅さんが夏でも腹巻きをしていた昭和40年代くらいまでは社会常識だったようにも思いますし、欧米の国々でも日本人ほど冷たいものを日常的に摂っている国はないように思います。