今が旬のカツオを使った中華風の刺身です。料理名の“鳳城”とは料理人を多く輩出している広東省の順徳という町のことで、魚の刺身と野菜、春巻きの皮を揚げたもの、香菜、ナッツを砕いたものなどに醤油ベースのタレがかけられています(基本的にこれらの具材を混ぜて食べます)。
もともと中国では生の魚を食べる習慣がないと思われていますが、“羮(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹く”の膾(なます)とは生の魚の切り身を酢などで調味したものの事ですから、古くから食べられてはいたようです。最近では日本の回転寿司が香港や上海ではすっかり根付いて、マグロの消費量も増大しているというニュースもよく目にします。
さて、食養生的にいいますと、刺身は意外にも消化に良いそうで、そういった意味では胃腸にやさしいといえます。問題点としては寄生虫や食中毒のリスクが高くなることと、おなかを冷やすことが挙げられますが、おなかを冷やす点に関しては、お寿司にしても昔からそういった習慣があるように、最後に熱いお茶や赤だしを摂ることでおなかを温めるようにすれば良いと思います。
現代医学的に見てもおなかを温めることは、消化酵素の活性を高めるだけでなく、腸内細菌の善玉菌の活性化にもつながりますので、冷たいものを摂りがちな暑い時期には、最後に何か温かいものを摂るようにすることが重要です。