湯気が濃すぎて見えにくいですが、牡蛎(衣をつけてフライにしたもの)と春雨の土鍋煮込みです。
中華料理で牡蛎と言えば、生のものは福建省や広東省の沿海部で食べられていましたが、一般的には干物にしたものが用いられていました。ただし、現在では牡蛎を濃縮したオイスターソースは中華料理に欠かせない調味料となっており、そういった意味では中国に於ける牡蛎の消費量は相当なものになると思います。
漢方の世界では、昔から牡蛎の殻を乾燥させたものを牡蛎(ぼれい)と呼び、上に昇った「気」を下げる要薬として用いられてきたほか、牡蛎肉については明の時代の本草綱目には滋養強壮作用のほか、お酒を飲んだ時のほてりや渇きを改善するとか、お肌のきめを整え、顔色も良くなる作用があると記されています(これらの薬効については現代科学の視点からも牡蛎肉に含まれる豊富なミネラル類が関与していることが確かめられています)。
日本でも半世紀ほど前から、牡蛎肉の濃縮エキスが健康食品として販売されており、特にミネラル不足から体調を崩しやすい現代人に根強い人気があります。