上海蟹のシーズン(11月からせいぜい12月までで菊の花が飾りに使われるのも菊の花の咲く頃が一番おいしいという意味です)も終わりですが、姿蒸しです。基本的に、雄(左側)と雌(右側)がセットになっています。
上海蟹といえば、日本ではこの姿蒸しが最もポピュラーですが、本場の上海などでは、生の上海蟹を薬味と共にお酒に漬けた酔っ払い蟹(醉蟹:ツイシェ)や、カニミソと身を予めほぐしたもの(蟹黄:シエファン、蟹粉:シエフェン)を炒めものなどに使うのが定番です。
さて、中国や香港では上海蟹を食べる時は生姜茶がつきもので、これは上海蟹の特に目玉に近いところにある胆がおなかを冷やすからとされており、現地では常識となっています。
日本でも、おなかを冷やさないためにおろし生姜などが使われてきましたが、その意味を理解している人は殆どいないのではないかと思います。これは、現代栄養学が何万年もの間人類が築き上げてきた食べ物に関する知恵の部分をかえりみず、カロリーや栄養素の分析に明け暮れていることが原因のように思います。特に、温かくても冷たくても食べものの栄養素もカロリーも同じですので、食べものの温度によってからだがどういった影響を受けるのかという発想そのものがなくなってきているように思いますし、その事が知らず知らずのうちに自らの健康を損ねているという例は数え切れないくらい目にします。
体調が悪いとか、よく風邪を引くという方でも、平気で冷たい物を飲んでいる人は増加の一途を辿っていますが、この寒い時期に冷蔵庫から出したての水やお茶を飲む前に、それらの水やお茶を飲むのと同じ量を頭からかけられてもかぜを引かないだけの体力があるのかどうか自問すべきです。