(福臨門魚翅海鮮酒家大阪店のメニューより)
福臨門さんは高級広東料理のお店だけあって干し鮑を大量に使われるようで、干し鮑をもどす時に出る煮汁を有効活用した炒飯です。
炒飯の具としてはシンプルに玉子と鶏肉ですが、ここへ咸魚(はむゆぃ)と呼ばれる中華風のアンチョビのようなものが入ると、香港でポピュラーな咸魚鶏粒炒飯(はむゆぃがいらっぷちゃぉふぁん:広東語読み)になります。
炒飯は今や日本でも普通に食べられるメニューですが、はっきり言って日本のお米ではなかなかうまく作れません。これは、日本のお米の粘度が高い為ですが、反対にいうと中国のお米は冷めるとパサパサになってしまうので、炒飯やお粥という食べ方が広まったと言えます。日本では、おにぎりやお弁当のようにお米は冷めても食べられるだけに、日本人の食習慣の中に“冷めたものでも平気で食べる”という諸外国では一般的とは言えない食文化が根付いたわけです。
それでも昔の日本人はおなかを冷やすのはからだに良くないことがわかっていたので、薬味と呼ばれる生姜などを活用したり、冷めたものを食べた後に熱いお茶やみそ汁をのんでおなかを冷やさないように工夫していたのですが、現代ではそういった部分が忘れ去られ、冷蔵庫の普及などもあいまって飲食物の温度が世界一冷たいのではないかと言える状況になっています。
別に冷たいものを飲んだり食べたからといってすぐに病気になるわけではありませんし、それで健康なら問題はないのでしょうけど、漢方的に見ると今や国民病とさえ言える花粉症や機能性胃腸障害の大きな要因となっています。