咸水角(広東語でハァムスイコッ)とは、飲茶の定番メニューのひとつで、具を餅皮で包んで揚げたものです。写真は鴨肉と松茸を具にした咸水角をスープ仕立てにしてあります。
咸水角以外の飲茶メニューでは、フカヒレ餃子などもスープ仕立て(魚翅灌湯餃)にされますが、基本的に具材が高級なものがスープ仕立てにされる事が多いように思います。
さて、中国料理ではスープの出来映えがその店の格を決定すると言われるほどですが、近年、化学調味料やインスタントのスープの素が氾濫して、鶏肉(老鶏)や金華ハムなどを用いた本来のスープの味を知らない人が増えているのも事実です。
中国料理の世界では、口に含んだ瞬間に旨味を感じるスープはダメとされているほど反対に言えば化学調味料を多用する店が多いものですが、近年、中国料理のスープに限らず殆どの料理の味付けが化学調味料に頼る傾向が強く、このことは化学調味料そのものの弊害以上に食に関して様々な悪影響を及ぼしています。
まず、口に入れた瞬間に旨味を感じると、必然的に噛む回数が減ります(→「よくかんで食べる」メリット 参照)。また、人工的な味になれてくると、食材の持つ本来のおいしさを知ることがなくなります。更に、そうなってくると、加工食品などでも化学的な味付けでごまかせるので、素材は最低のものを使って、噛まないのを前提にして柔らかな食感のものを提供する→それを食べ慣れると、ますます、濃い味の化学調味料漬けのものしかおいしく感じなくなる、という悪循環に陥ります、というか現代人の多くは既にそうなっていると思います。
じゃあ、高い金を払って高級なレストランで食べろと言うのかと突っ込まれそうですが、炊きたてのご飯におみそ汁、おつけものといったところから見直すだけでも食に対する見方は変わってきますし、その為にも自分でご飯を作るところから始めるのがベストのような気がします。
実際に、「弁当の日」という活動があって、全国の小学校から大学まで運動が広がっていますが、半世紀前までは当たり前であったことを見直すことで、食や健康だけでなく社会全体が本当の意味で豊かになっていくように思います。