“生活を楽しんでいる”人は心筋梗塞になりにくい

 NIKKEI NETによると、このほど厚生労働省の研究班の行った大規模な疫学調査の結果、「自分は生活を楽しんでいる」と考える男性ほど心筋梗塞などの循環器病にかかるリスクが低いことが明らかになりました。

 まあ、常識的に考えてもそれほど驚くような調査結果とは言えませんが、漢方的に解説しますと、「生活を楽しんでいない人」はストレスが多い→「気が滅入る」→“気”の巡りがスムーズに行かなくなる→“気”のエネルギーで流れている“血”の流れが滞りがちになる→循環器病になりやすくなる という理屈になります。専門的には“気”の流れが滞ることを“気滞(きたい)”と呼び、“気滞”の状況が長引くことで“淤血(おけつ)”と呼ばれる血液循環がスムーズに行かなくなる状態になると考えられています。

 因みに、“気滞”の状態になると、

・ゲップやガスが増える

・便がスッキリでない

・肩こりや足がつりやすくなる

・生理前に胸がはる

といった症状が表れやすくなります。また、この段階では健康診断でも異常が見つからないかもしれませんが、こういった状態を放置しておくと“淤血(おけつ)”という状態に移行しやすくなります。

 “淤血”という状態になると動悸や頭重、頭痛、肩こりなどが強くなってくるほか、心筋梗塞や脳梗塞などのリスクも高くなります。

 もっとも、生活を楽しんでいる人は精神的なストレスをかかえていないと言う前提では上記のような話しになりますが、漢方的には精神的ストレスが少なく、生活を楽しんでいれば“淤血(おけつ)”にならないかといえば、そうではなく、生活を楽しんでいるように見えるものの、恒常的な食べ過ぎ、飲みすぎ、あるいは一見活発で活動的に見えるものの、からだの水分保持力の低下を伴う“陰虚”とよばれる体質などからも“淤血”が発生することがありますので、そんなに単純な話しではありません。

 今回の「生活を楽しんでいる人」は循環器病にかかりにくいと言う疫学的な調査結果が、この不況のさなかに発表されたのは皮肉ともいえます・・・と思っていたら、CNNによりますと、ミシガン大学の研究者が先頃発表したところによると、前の大恐慌の時代、米国人の死亡率は低下し平均寿命が延びていたそうです。理由としては、経済状況の悪化により仕事に追い回されなくなってストレスが減少したことなどが挙げられているそうです(ただし、死因としての「自殺」は増加したそうです)。

 今回の日本の調査と合わせて考えると、経済的な問題より、こころの問題が寿命に大きく影響すると言うことだと思います。

 

 

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