茄子の裏ごしとネギや枝豆などを和えてマスタードソースで味付けした前菜です。いたってシンプルな一品で、老北京菜(ラオベイジンツァイ)と呼ばれる北京の伝統的な家庭料理のひとつです(中国語の料理名は、その名も“茄泥”です)。
さて、マスタードというかカラシは中央アジア原産のアブラナ科植物であるカラシナの種子をすりつぶしたもので、日本にも弥生時代には伝わっていたとされています。カラシナは中華の食材としてもよく用いられ、日本の高菜漬けに似た梅菜や、有名な搾菜(ざーさい)もカラシナの変種です。
カラシの薬膳的な効能としては、辛いものに共通する効能として気の巡りを良くする作用があるほか、種子類の多くがそうであるように軽い下剤的な作用もあります。また、昔はすりつぶしたものを湿布材として神経痛などに応用されたりもしていました(生薬としては芥子と書いて“がいし”と読みます)。