日本でもポピュラーな四川料理のひとつ、棒々鶏(バンバンジィ)です。
料理名の由来は、茹でた鶏を棒で何回も叩いてから細切りにすることから名付けられたものですが、昔は玉子を産まなくなった廃鶏を主に食用にしていたので、肉質が硬かったからだと思われます。
現在のブロイラーなどは肉質が柔らかく、棒で叩いたりしたら粉々になりそうですが、昔は歯応えのある肉質に臭みも強かったと思いますし、そういった鶏肉に芝麻醤ベースのコクのあるソースがぴったり合っていたんだろうと想像します。
ところで、現在の食の問題点の一つに鶏肉に限らず食材がどんどん柔らかくなってきていることが挙げられます。主食であるお米は精白米が当たり前になり、野菜類の消費量も減少の一途をたどり、加工食品が増えてきたことなど、栄養面からだけではわからないこうした変化は、健康にとって様々な悪影響を与えています。
特に成長期のお子さんにとって、柔らかい物ばかり食べることは歯並びが悪くなったり、虫歯ができやすくなるばかりか、統計的には噛む力が弱いと視力に悪影響を与えるなどのほか、飲み込むように食べることが普通になると必然的に味の濃いものを好むようになり、味覚の発達にも悪影響を与えます。更に、大人でも同じですが噛まないと唾液の分泌が減って、唾液に含まれる様々な有用な成分の効果が期待できなくなります(「よくかんで食べる」メリット参照)。
かといって、いきなりめざしなど硬いものばかりを買ってきて食べる訳にもいきませんので、せめて柔らかいものでも一口30回噛むようにして食べる習慣をつけることから始めることをお勧めします。