一見するとラビオリのようにも見える麺は、シルクロードにつながる“麺の国”、陝西省(省の名前より省都の西安の方が有名)の麺で、味付けもトマトなどが使われてかなり西域っぽいモノになっています。
よく耳にする話しですが、イタリアのパスタ類は、マルコポーロが中国から伝えたという俗説があります。実際にはもっと古くにアラビア地域を経てヨーロッパに伝えられたという説が有力ですが、いずれにせよ麺類は中国が発祥のようです(中国で言う“麺”とは、小麦粉を練ったもの全般を指しますので、日本でいう麺類のほかにもラビオリや餃子(の皮)、豚まん(の皮)なども含みます)。
考えてみれば、イタリアのパスタは、中国から伝えられた麺と新大陸からのトマトが出会ったことで、今日の隆盛を築いたわけです。トマトといえば、この写真のメニューでもそうですが、中国では生で食べるよりも玉子と一緒に炒めることが多く、刻んだトマトと玉子の炒めものは家庭料理の代表的なものです。
トマトは渇きをおさえたり、からだにこもった余分な熱を冷ます作用があるなど夏野菜の代表的なものですが、これらの薬膳的な効能は加熱したからといって無くなるわけではありませんし、加熱した方がトマトに多く含まれるグルタミン酸の旨味も強くなります。