(「筑紫樓」さんのメニューより)
このお店の看板料理のフカヒレの姿煮です。フカヒレは、言ってしまえばサメのヒレに過ぎませんが、乾燥したものをもどして(臭みをとるのに何度も茹でる必要があります)、皮や細かい骨を掃除する手間などでコストが高くなります。
フカヒレはもともと広東省の沿海部で細々と食用にされていたものが、清朝の時代に皇帝に献上され、狩猟民族である満州族の皇帝が魚介類を好まなかったために、余ったフカヒレが北京の市中に出まわり、それから漢族を中心に好んで食べられるようになったというもので、歴史的にはそんなに古いものではありません。
では、何故、北京などでは殆ど知られていなかったフカヒレが漢族を中心に好んで食べられるようになったのかと考えると、フカヒレのようなゼラチン質の食材は「精」を補い美容と健康~老化予防に良いという医食同源の考え方が(漢族の間では)広く行きわたっていたからだろうと考えられます。写真のようなフカヒレの醤油煮込みでは、フカヒレ以外のスープ部分だけで十分おいしいというか、フカヒレ自体には殆ど味がない訳ですが、食材と不老長寿というか健康を結びつける考え方が徹底しているがゆえのエピソードだと思います。