牛テールは煮込みやスープが一般的ですが、軟骨などに含まれるゼラチン質などが溶け出して滋味豊かな味となります。
薬膳的には尻尾というか脊椎の中にある髄質は、生命の根源物質とも言える「精」から直接生じるとされていますので、骨を煮込んだ料理は、それだけで精がつくというか、生命力を養うということになります。
ついでに言うと「精は髄を生じ、脳は髄の海」とされていますので、「精」の不足は脳の機能低下につながります。もちろん、その他にも文字通りの「精」力減退や骨がもろくなるといった症状も「精」の不足から起こりえますので、アンチエイジングの基本はいかに「精」の減少を食い止めるかにかかっています。
よって中華に於ける高級食材(フカヒレやツバメの巣、スッポンなど)はほぼ例外なく「精」の元となるようなものであって、老化予防や子孫の繁栄(=生殖能力の向上)につながるものです。また、中国では高価でなくともモミジとも呼ばれる鶏の足や豚足などもゼラチン質=「精」の一部という発想があって人気があります。
日本では食材に含まれるビタミンなど「栄養物質」が強調されますが、中国では永年に渡る経験で見いだされた食材の「からだに与える影響」を重視します。そういった面では、牛肉はスープにすると「気」を補い胃腸の消化吸収力を高めますし、骨のゼラチン質などは「精」を補うということから、牛テールの煮込みはアンチエイジング的に優れた料理となります。