穴子と新ジャガ、コーンの蒸しもの

512_4  穴子の切り身にお米を砕いたものをまぶして、蒸してあります。写真では見えにくいですが、穴子の下には新ジャガとトウモロコシが隠れています。また、一番上に載っているのはニンニクの葉です。

 ジャガイモもトウモロコシもデンプン質が豊富ですが、食べ物をデンプンなどの糖質、タンパク質、脂質に3分類した時に、穀物などに多く含まれるデンプンの重要性が意外と認識されていないような気がします。

 タンパク質も脂質もからだに必要な栄養素に違いはないのですが、糖質ともよばれるデンプンは、唾液や膵液に含まれるアミラーゼなどの消化酵素の作用でブドウ糖にまで消化されますが、人間の脳の唯一の栄養源がこのブドウ糖です。

 現代では糖分の摂りすぎが問題になりますが、人類の歴史を考えた時に、穀物などから供給されるデンプンがなければ死活問題となったはずで、主食ともよばれるお米をはじめとした穀物を食べることが最重要課題であったはずです。数千年の歴史のある漢方でも、人間の食べ物を指して「水穀」と言いますが、水と穀物こそが最も重要であるということです。

 ところで、現代社会の食生活に於いては「あまり噛まない」ことで、食べ物が物理的に細かくならないばかりか、「唾液の分泌量も少なく」なって、アミラーゼなどの消化酵素が十分に作用せず、更に「冷たいものの飲みすぎ」で、消化管内の温度が下がって、消化酵素の活性が低下することで、結果的にデンプン質のものを食べたとしても十分にブドウ糖まで消化吸収されていない筈です。

 現在、国を挙げて「食育」に取り組んでいこうとなっていますが、こういった人類の食に関する最もベーシックな点が見落とされていることが、現代日本の食に関する混迷の元になっていると思います。

 

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