大いなる誤解(3)〜漢方薬の「効能・効果」はあてにならない?
新薬やビタミン剤などの場合は「効能・効果」通りの効果が期待できるのは当たり前というか、そういった効果があるからこそ厚生労働省も「効能・効果」を認めているわけですが、漢方薬の場合はそうはいきません。
わかりやすく言うと、ある薬が「ある種のパターン」に対して「効能・効果」をもっているとしたら、この「ある種のパターン」が西洋医学では「病名」であったり「症状」であり、その「病名」や「症状」に対して「効能・効果」が決まります。ところが、漢方に於いてはこの「ある種のパターン」とは、「病名」や「症状」以外にもその方の「体質」であるとか、その「症状や病気を引き起こした要因」を「漢方的に分析したもの」であって、それらの要因も総て考慮した上で最適の漢方処方が決まります。ところが、日本では漢方の言葉で「効能・効果」を書くことはできませんので、西洋医学に準じて「病名」や「症状」が記載されています。
よって、西洋医学的な「病名」であったり、漢方薬のパッケージに書かれてある「効能効果」だけを頼りに漢方薬を選ぶことは本来できません。例えば鼻炎やかぜでも、その原因が漢方の言葉で言う「寒」なのか「熱」なのかで、用いられる処方は漢方的には逆の作用(「冷え」をとるのか「熱」をとるのか)になりますが、パッケージに書かれている「鼻炎」や「かぜ」という「効能・効果」は同じです。
近年、漢方薬の売り上げは上昇傾向にありますが、良心的なメーカーは同じ疾患に対しても、漢方的に見ていくつかのパターンの処方を提供していますが、中には厚生労働省が認めたことを錦の御旗に、漢方的な理論を全く無視して「効能・効果」だけを前面に押し出したプロモーションをするところが目につくようになってきました。
法律的にはそれでも問題はないのでしょうが、医薬品メーカーとしての品格を疑うと共に、何も知らない消費者が「効能・効果」につられて自分の体質に合っていない漢方薬を服用することで副作用が出たり、漢方薬は効かないというイメージが広まることが懸念されます。