(丸の内の丸ビルにある筑紫楼さんのメニューから)
牛肉も大根も唐辛子もすべて、薬膳的には身体を温める作用があり、寒い時期にはぴったりのメニューです。
さて、冷え症で手足が冷えると実感する以外に、身体の冷えは様々な弊害を招きます。特に夜間の頻尿や日本人に増えてきていると言われる早朝高血圧なども漢方的には身体の冷えが原因となっている場合が多いと考えられています。
即ち、夜中から明け方にかけて最も寒くなる時期に、身体が冷えるのを防ぐために余分な水分を排泄しようとするのが夜間尿で、同じく身体の冷えを防ぐための防御反応として血管を収縮させる結果、血圧が上昇するのが早朝高血圧になります。
地球の温暖化が叫ばれる一方、日本人の平均体温はどんどん低下してるという報告がありますが、背景には食生活の問題が大きいと思います。つまり水分の過剰摂取と、物理的に冷たいものの摂りすぎ、さらに野菜不足などによる腸内の善玉菌の活動低下などです。
腸には100兆個もの細菌が住み着いていますが、善玉菌と呼ばれるビフィズス菌などが活発に活動(発酵)すると腸管内の温度は上昇しますし、反対に悪玉菌は低温で活発に働くことが知られています。要するに、善玉菌が喜ぶようなオリゴ糖や食物繊維を含む野菜や果物を摂ることで結果的に体温は上昇するわけですが、冷たいものの過剰摂取とストレスは悪玉菌を増やし、善玉菌を減少させ、更に加工食品などは善玉菌の栄養にならないことから、腸内の細菌バランスが悪化、便秘や下痢だけでなく体温まで低下させている可能性があります。
漢方では食べ物の性格として体を温めるもの(「熱性」「温性」)と冷やす物(「涼性」「寒性」)に分けて考えますが、アメリカでガンの抑制効果のある食品群(デザイナーフーズ)として挙げられているものは、ニンニクなど身体を温める作用があるとされている物が多いように思います。
ついでに言うと、それぞれの食べ物の性質についてわからないという方は、冬の寒い時期が旬の食べ物を中心に食べるのが間違いのないところです。