「肺」も排泄器官

日本人のための食養生(8)〜「肺」も排泄器官

 健康の基本は食事と、それを消化吸収する胃腸の機能が正常に働くことが重要ですが、飲食物から栄養分を吸収した後の「排泄」も重要な要素です。

 「排泄」と言えば、胃腸と腎臓がそれぞれ大便、小便という形で行っていますが、成人では飲食物のうち大小便で排泄されるのは6割程度にすぎません。

 では、残りの4割はどこから排泄されているかというと肺から呼気とともに排泄されています。

 よって、胃腸(漢方では脾胃)と腎臓(腎)、肺(肺)の3つが正常に働かないと排泄がうまくいきませんし、反対に体にとって不要な物が入ってくるとこれらの排泄器官の負担も大きくなってきます。

 アトピー性皮膚炎や、花粉症、喘息などのアレルギー疾患において、食べ物や胃腸の問題に目が向きがちですが、漢方では胃腸や食べ物以外にも腎や肺の機能を同時に整える必要があると考えられています(特に、漢方で「肺」は呼吸に関与する気管支、鼻から皮膚までを含みますので、アトピーも花粉症(鼻炎)も喘息も症状が出ている場所は「肺」になります)。

 近年、こういったアレルギー疾患が増加傾向にあるのは、栄養失調よりも栄養の過剰が問題となっているだけでなく、いままで日本人が食べたこともなかった外国の食べ物、食品添加物や環境ホルモンといった消化しきれないものが口からはいることで、胃腸や肺や腎に無理がかかっていることがひとつの原因であるとも言えます。

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