写真は、生のアワビを蒸した物に髪菜(ファーツァイ)入りの上湯スープがかけられています。髪菜とは、見た目が髪の毛に似ていることからそう呼ばれますが、中国の内陸部の草原地帯に生える藍藻の一種です。 髪菜はもずくに似た食感で、それ自体には殆ど味はありませんが、薬膳的には髪の毛を黒くする作用があるといわれています。
また、髪菜(ファーツァイ)の発音が、商売繁盛を表す「發財」と同じ発音であることから、昔から香港の商売人の間では縁起物としても宴席料理には欠かせない食材でした。ただし、現在では資源保護のために採集が規制され、希少性が高くなっています。
アワビは日本でも縁起物の代表格ですが、中国でも秦の始皇帝が不老長寿の秘薬として日本のアワビを探し求めたという逸話もあります。特に日本産の干しアワビは相当な高値でも中国では人気のある食材で、近年の中国の経済発展により需要が更に伸びているそうです。因みに、写真のアワビは生の物が使われています。干しアワビと比べてあっさりした味になりますが、夏向きのメニューと言えます(同じ大きさなら干しアワビよりも価格も数分の一以下になります)。