東京の京橋にある「東京唯一の湖南料理のお店」である雪園さんのメニューから、今が旬のスズキの蒸し物です。湖南料理といっても日本では馴染みがありませんが、中国8大料理のひとつに数えられ、様々な種類の唐辛子を縦横無尽に使った「辛い」料理などが特徴です。
湖南省では現地で「大頭魚」と呼ばれる淡水魚を唐辛子をたっぷり使って蒸し上げた料理が名物のひとつですが、写真のメニューはそれをアレンジしたものです。一般的な広東料理などでは魚の蒸し物といえば、醤油やナンプラー(魚醤)が使われますが、湖南料理では写真のように塩味ベースのスープと青唐辛子などが使われるのが特徴です。辛いという味には発散や発汗という意味があって、夏の暑いときに辛いものを食べると、発汗することで結果的に体温を下げる作用があります。
本場の大頭魚と同じく、スズキは皮のところにゼラチン質が多く、塩味と唐辛子の辛さとあいまって夏向きのメニューだと思います(もっとも、湖南省では年がら年中辛いものを食べているようですが)。ところで、魚のゼラチン質といえば皮のところにも多いのですが、究極は「魚肚」と呼ばれる魚の浮き袋を乾燥させた物で、フカヒレと並ぶ高級食材として知られています。