漢方から見た高血圧

先進国では人口の10~15%が高血圧症であるといわれ、日本でも境界域の方を含めると1,500万~1,900万人の方が該当するといわれています。また、高齢者ほど罹患率が高く、60代では4人に1人は高血圧症ともいわれています。

血圧とは(心拍出量)×(血管抵抗)で表され、心臓から送り出される血液の量や粘度、血管内の流れやすさ等によって数値は変化します。因みに、最高血圧/最低血圧が140 / 90以上を高血圧といい、血圧が高いからといってすぐに体への影響が出るものではないですが、高血圧の状態を放っておくと血管への負担が大きくなり、動脈硬化なども起こしやすくなり、全身に影響が生じてきます。特に、脳や心臓に影響が及ぶと脳梗塞や痴呆、狭心症や心筋梗塞などの引き金になるばかりか、眼底出血や腎臓の血管障害からの腎不全などの原因ともなります。

西洋医学では高血圧症を原因がはっきりしない本態性高血圧と慢性腎炎など他の疾患の影響で血圧が上がる二次性高血圧に分類しますが、前者が全体の90%以上を占めています。また、治療方法も利尿降圧剤、ACE阻害剤、カルシウム拮抗剤、アンジオテンシンII阻害剤などの対症療法薬が使われますが、高い血圧を化学的に下げることで合併症を防ぐというものになります。

漢方の考え方では、基本的には「気」の亢進や「陰陽」の失調と捉えて、根本的な治療を目指します。また、その人の体質や自覚症状によってだいたい次のように分類して、治療を進めていきます。また、西洋医学のように血圧計の数字のみを追うのではなく、一見、高血圧と関係なさそうな自覚症状でも、それらが改善することで長い目で見ると血圧も徐々に低下していくと考えます。

・肝鬱化火タイプ

主にストレスなどが原因で、のぼせ、顔面紅潮、イライラしやすい、口の中が苦い、肩こり、目の充血などの自覚症状を伴うタイプ。

・心腎不交タイプ

血圧が不安定で、動悸、息切れ、不安感、寝付きが悪い、頭がふらつく、手足のほてり、寝汗などの自覚症状を伴うタイプ。

・気滞血淤タイプ

慢性的なストレスや運動不足などが原因で、全身の「気」や「血」の循環が悪くなって頭痛、肩こり、めまい、手足のしびれ、胸の痛みなどの自覚症状があって、唇や舌の色が暗い紫がかった色をしているタイプ。

・痰濁内阻タイプ
肥満や高脂血症がある人に多く見られ、むくみやすく、手足や体が重く感じる、不安感が強いといった自覚症状を伴うタイプ。

・気虚血淤タイプ

もともと虚弱体質であったり、過労や栄養不良などにより、血流が悪くなって、めまい、動悸、息切れ、無力感、疲れやすいといった自覚症状があるタイプ。

・陰虚陽亢タイプ

老化などにより体内の「陰分」が消耗して、のぼせ、めまい、口やのどの渇き、便秘、膝や腰の痛み、筋肉のけいれんなどを伴うタイプ。

・陰陽両虚タイプ

慢性病や老化により、体力の消耗が強く、冷えのぼせがあったり、足腰や体がだるい、夜間尿が多い、下肢のむくみ、めまいなどを伴うタイプ。

人の血管は地球2周半にも及ぶ長さがある上、末梢血管と呼ばれる細い血管が90%以上をしめているため、いずれのタイプでも血液をサラサラにするというのが基本になりますが、日常生活では「ストレス」「食事」「運動」「老化」といったことに注意が必要です。

おすすめの漢方薬

・冠元顆粒(かんげんかりゅう)
・冠脉通塞丸(かんみゃくつうそくがん)
・能活精(のうかっせい)
・釣藤散(ちょうとうさん)
・知柏地黄丸(ちばくじおうがん)
・杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)

 など

おすすめの健康食品・サプリメント

・田七人参(でんしちにんじん)
・西洋人参(せいようにんじん)
・ミンハオ
・大麦若葉エキス

 など

1ヶ月分のご予算

8,000円~15,000円

「疾患・症状と漢方薬」に関するFAQ

Q:西洋医学的な病名にあった漢方薬を服用してますが効きません。


A:漢方薬の効能は西洋医学的な言葉で書かれていますので、病名が合致しててもその漢方処方が本来使用されるべき体質でなければ効果がないばかりか副作用のリスクも増大します。


Q:漢方薬と西洋薬の併用に問題はないですか?


A:漢方薬と西洋薬との相互作用についても注意する必要があります。ご相談の際には服用中の西洋薬やサプリメントをお教え下さい。